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Friday, December 10, 2004

開催中に禁止薬物発覚――大井競馬

 大井競馬が禁止薬物で開催を中止するという事件が起こった。
 まずは、各メディアの速報記事から。

 東京・大井競馬を主催する特別区競馬組合は9日、10日に開催を予定していた11レース(144頭)すべてを中止すると発表した。正規のルートを通じて各厩舎が購入していたミネラル塩の中に、禁止薬物のカフェインとテオブロミンが混入していることがわかったため。10日の出走予定馬数十頭が口にした可能性があり、公正なレースができないと判断した。(livedoor.com)

 10日に開催予定だった大井競馬最終日が9日夜、中止が決まり、主催者の特別区競馬組合から発表された。出走予定だった144頭のうち、約60頭が禁止薬物のカフェインとテオプロミンを含む飼料を使用していたことが分かったため。9日夕方に、飼料から禁止薬物の陽性反応が出たことが発覚。同日夜の時点で出走馬から陽性反応は出ていないが、10日の開催までに全出走馬の検査は不可能なことから、公正を欠く危険を予防する措置として、午後10時すぎに中止が決まった。代替開催は行わない。天候や交通のトラブルではなく、薬物関係の理由による開催中止は初めてという。(日刊スポーツ)

 大井競馬場を主催する特別区競馬組合は9日夜、10日開催予定の11レースについて、出走予定の競走馬が禁止薬物を含む飼料を食べていた疑いがあるとして、全レースを中止することを決定した。大井競馬場で禁止薬物によるレース中止は初めて。同組合によると、飼料に混ぜるミネラル塩の製造工程が更新されたため、財団法人「競走馬理化学研究所」で検査したところ、禁止薬物のカフェインなどが検出された。このため、競走馬からは禁止薬物が検出されていないものの、同じ会社が製造し、過去に流通していたミネラル塩にも禁止薬物が含まれていた可能性があるとして、「公正確保ができない」と判断した。大井競馬場関係では、ミネラル塩は25きゅう舎に納品されていた。今回の中止に伴う代替開催はしない。(毎日新聞)

 主催者とNARのサイトには以下のものが載った。

 12月10日の大井競馬の開催は、禁止薬物が含まれる「ミネラル塩」を使用した疑いのある馬が多数出走しており、公正確保のため取り止めとなりました。なお、代替開催はありません。(NARサイトのレース情報)

 平成16年12月10日(金)(特別区競馬組合営第18回大井競馬5日目)の開催は、禁止薬物(カフェイン及びテオブロミン)が含まれる「ミネラル塩」を使用した疑いのある馬が多数出走を予定しており、公正確保のため取り止めといたします。なお、代替開催はいたしません。(TCKサイト)

 これにより10日のレースばかりでなく、予定されていたコスモバルクの交流イベントも中止になってしまった。

 この事件のポイントは「禁止薬物のカフェインとテオブロミン」「ミネラル塩を使った競走馬サプリメント」「開催中に発覚」の3つだろうか。

【カフェインとテオブロミン】
 金沢市地方競馬実施条例施行規則の第37条の別表第1では(大井のじゃなくてゴメンなさい。しかも、“金沢市営”だし…)、以下の薬物が使用禁止とされていた。

 (1)アトロピン(2)アンフェタミン(3)エタノール(4)エフェドリン(5)オキシエチルテオフィリン(6)オキシプロピルテオフィリン(7)カフェイン(8)カンフル(9)クロルプロマジン(10)クロルプロマジンスルホキシド(11)コカイン(12)ジヒドロオキシプロピルテオフィリン(13)ジブカイン(14)ジプロヘプタジン(15)ジモルホラミン(16)スコポラミン(17)スタノゾロール(18)ストリキニーネ(19)テオフィリン(20)テオブロミン(21)テトラカイン(22)テンオキソカンファー(23)トランスパイオキソカンファー(24)ナンドロロン(25)ニケタミド(26)ニコチン(27)ノスカビン(28)バルビタール(29)バルビツール酸誘導体(30)ピプラドロール(31)フェナセチン(32)フェニルピラゾロン誘導体(33)フェニルブタゾン(34)フラザボール(35)ブルシン(36)フルフェナム酸(37)プロカイン(38)フロセミド(39)プロマジン(40)ペモリン(41)ペンタゾシン(42)ペンテトラゾール(43)ボルデノン(44)メサピリレン(45)メタンフェタミン(46)メチルエフェドリン(47)メチルフェニデート(48)メテノロン(49)メトキシフェナミン(50)メフェナム酸(51)モルヒネ(52)リドカイン(53)前各号に掲げる物のいずれかを含有する物(遊離する物を含む。)

 ここに記載されているカフェインとテオブロミンが今回発覚した薬物だ。(どうでもいい話だけど、アンフェタミンってジャン・レノ主演の『クリムゾン・リバー2』に出てくるよね。なんてこたぁない、アンフェタミンだ!)
 カフェインは禁止薬物としてはメジャーで、レース後にカフェインが検出された事件は多い(金沢、高知など)。かつて中央競馬では、大阪杯でミスターシービーを負かした地方出身馬・ステートジャガーがカフェイン事件に巻き込まれたことがある。
 テオブロミンは初めて聞く人も多いだろうが、ココアに含まれる成分で、心臓血管に作用し、中枢神経を興奮させる働きがある。
 この2つが、大井競馬の厩舎が購入していたミネラル塩に含まれていた。

【ミネラル塩】
 ミネラル塩は競走馬サプリメントに使われている。↑の引用に出てくる競走馬理化学研究所が承認しているある商品を紹介するサイトによると「体内での電解液としての機能を果たし、調教やレース後等、汗をかいた後の体調維持と疲労回復」とある。塩分補給だけでなく疲労回復の効果があり、運動後のコズミ防止に役立つお得なもの!…である。
 このミネラル塩の製造工程が変わったために、何らかの不具合で禁止薬物2つが混入したと見られている。

【開催中に発覚】
 禁止薬物事件の多くは、レース後の検査で発覚する。たとえば、2000年7月3日高知競馬の第1レースの1着馬エチゼンコンドルの場合(カフェインとニコチン)、1週間後に判明した(1着と2着馬は検査を受ける規則)。
 ところが、今回の事件は「9日夕方に飼料から禁止薬物の陽性反応が出たことが発覚(日刊スポーツ)」したとある。つまり、(最終日の)レースを行う前日、しかも開催中というタイミングだ。
 いろいろ疑問がある。「なぜ、開催前でなく開催中なのか?」「前日までに出走した馬は禁止薬物を摂っていたのか?」など。10日だけのレースのことを考えたら上手く“予防”したと言えるが、6~9日まで開催してることを考えると遅いんじゃないかと。
 まあ、まだ何という製品で、いつから製造工程が変わって、それをいつから出荷したのかとかわからないから…('A`)
 「ほかの地方競馬、中央競馬でも同添加物使用の可能性があり、影響が懸念される」という記事も見かけたので、他への影響も気になるところ。

 ちなみに、これ。深夜にコーヒーを飲みながら書きました( ゚Д゚)y─┛~~プカー

【10日朝追加】
 詳しく出てた。あと、中央競馬でも売られていた、とも。

 日本中央競馬会は10日、美浦トレーニングセンターの10厩舎(きゅうしゃ)に、禁止薬物が含まれる飼料添加物(ミネラル塩)が販売されていたと発表した。今週の競馬は予定通り開催される。(日刊スポーツ)

 美浦トレーニングセンターの厩舎に販売された飼料添加物「ミネラル塩」に禁止薬物(カフェイン及びテオブロミン)が含有していたことが、昨日(9日・木)夕刻に判明した。今週の出走予定馬のうち、この添加物が販売された厩舎の馬が10厩舎44頭いることが判明したため、万全を期すため、それらの馬の検体について本日薬物検査を実施し、出走の可否を判断することになった。薬物検査の結果は今日(10日・金)20時頃に判明し、判明し次第発表となる。なお、今週の競馬については予定どおり開催される。(ラジオNIKKEI)

 10日に開催予定だった大井競馬最終日は、取りやめとなった。9日午後10時過ぎに異例の中止が決まった。(略)大井競馬では公正確保を目的に、競走馬に与える飼料をチェックしている。この種の検査は、他の競馬場でも日常的に行われている。検査を担当する競走馬理化学研究所による検査結果を、施行者の特別区競馬組合が知ったのは、9日午後6時40分ごろ。飼料の一つの「ミネラル塩」(栄養素を含んだ塩)から禁止薬物のカフェインとテオブロミンが検出されたという。各種飼料は、各厩舎がそれぞれの判断で購入する。このミネラル塩は相当数の厩舎が使っており、10日の出走予定馬も既に食べている。10日の開催を実施した場合、複数の馬から禁止薬物の陽性反応が出る可能性がある。出走予定だった144頭のうち、この飼料を食べていたのは60頭前後とみられる。今まで使用していた飼料から今回、禁止薬物が検出された理由は分かっていない。特別区競馬組合では「事件性はまったくない」としている。9日の出走馬などもこの飼料を食べた可能性があるが、9日夜の時点では馬からの陽性反応は出ていないという。特別区競馬組合では開催に向け、どのような方法があるか模索したが、開始時間までに144頭全馬をチェックするのは事実上不可能。また、疑いのある60頭前後を除外した場合は、80頭前後での極めて少ない頭数での開催になってしまう。以上の背景とともに、公正さを損なわないための予防措置として、取りやめが妥当と判断した。大井競馬では過去に、コンピュータートラブルによる途中中止はあるものの、この種の理由での取りやめは初めて。代替え開催は実施されない。29日の東京大賞典(統一G1)を含む27日から31日までの開催は、予定通り実施される。(日刊スポーツ)

 南関東公営競馬の大井競馬(東京都品川区勝島、特別区競馬組合)が競走馬の飼料管理の事故で10日に開催予定だった第18回最終日の全レースを中止する事態に陥った。食欲増進の目的などでカイバに混入するミネラル塩から禁止薬物に指定されているカフェインとテオブロミンが検出されたもの。(略)大井競馬は9日、全11レースを開催、と同時に翌日の開催に備えた出馬作業をすべて終えたが、午後6時43分に地方競馬を管轄する地方競馬全国協会から「飼料添加物のミネラル塩から禁止薬物が検出された」との連絡が入った。定期的に行われている飼料の理化学検査でひっかかったもので、同競馬場は調査を開始。問題の塩は9月17日に日本全薬工業が製造したもので、大井競馬の66厩舎のうち、25厩舎に納入されていることが分かった。そのため、10日に出走予定の144頭中、60頭を超える競走馬が摂取している可能性があることから、公正確保のために全面的な開催中止を決めたもの。代替開催は行わない。検出されたカフェインとテオブロミンはそれぞれ競走馬の能力に悪影響を及ぼすとして禁止薬物に指定されている。塩は食欲増進のためにカイバに日常的に混ぜて使われるもので、これまでも多数の馬が摂取した状態で競走に出走していた可能性もある。大井競馬はこの6日から9日まで、連続4日間の開催を行ってきたが、各レース後に行われる1、2着馬と任意の1頭について行われる尿検査の結果はまだ出ていない。ただ、11月10日から15日に行われた前開催分については禁止薬物は検出されていない。大井競馬がアクシデントで全レースの開催中止に追い込まれたのは競走馬の流感騒ぎがあった1971年12月以来のこと。この時は中央競馬も含め、1カ月以上、開催中止となった。今回の中止の原因となっているミネラル塩にどういう経緯で禁止薬物が混入したかは現在、調査中だが、この塩は船橋、川崎、浦和など、南関東地区で広く使用されている可能性があり、13日から開催予定の船橋競馬へ影響が及ぶことも考えられる。≪飼料は持ち込みバルクセーフ?≫有馬記念出走のため大井競馬場に滞在しているコスモバルク(道営・田部)は、飼料を北海道から持ち込んでいるため、問題の塩を口にしている可能性は低いという。しかし、厩舎敷地内に滞在していることから、念のため、10日に尿検査を実施するという。また、10日に予定されていたバルクの公開パドックイベントは、大井開催の取りやめに伴い中止される。(スポニチ)

【10日夜追加】
 まずは、JRAの出走予定馬の検査結果について。大丈夫。

 禁止薬物(カフェイン及びテオブロミン)が含有された飼料添加物『軽種馬用 総合栄養 ミネラル・塩』を摂取した可能性がある10きゅう舎44頭の馬に対して、本日、薬物検査を実施した結果全頭「陰性」と判明いたしましたのでお知らせします。(JRAのお知らせ)
 大井以外の地方競馬については、浦和と佐賀で使用されていることが確認された。でも、明日以降の開催には影響なし。
 地方競馬全国協会は、各主催者を通じて「軽種馬用総合栄養ミネラル・塩」の使用状況について調査した。その結果、大井以外では浦和及び佐賀の一部の厩舎で使用していることが確認された。また、この「ミネラル・塩」を使用した馬については、事前に薬物検査を実施し、薬物の影響がない(陰性である)ことを確認した上で出走させるよう周知した。以上のことから明日11日(土)以降の開催については影響なしと判断し、各主催者の競馬開催については予定通り実施することを発表した。(ラジオNIKKEI)
 問題の日本全薬工業(ゼノアック)は、これまでの経緯と謝罪文をサイトに載せた。詳しくはこちらをどうぞ。
 最後に、島村農水相のコメントを。
 島村宜伸農水相は10日の閣議後記者会見で、東京都の大井競馬が、多数の出走予定馬が禁止薬物を含む飼料を摂取したために同日の開催を中止したことについて「(競走の)公正確保を図る観点から適切な対応だったと思う」との認識を示した。(時事通信)

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